【全固体電池とは】リチウムイオン電池より小型・航続長距離・フル充電数・出力アップ
「現行のリチウムイオン電池は電気自動車に適さない」
トヨタが話題にした考え方です。
この思想を反映するために「全固体電池を実用化させて電気自動車に導入しよう」という動きがあるようです。
トヨタは全固体電池で電気自動車の市場シェア獲得を狙っているかのよう。
しかし、日産も2021年長期ビジョン発表の場で「2028年までに全固体電池を搭載したEVを発売」と話題を出したので、各社参入。
競争によってコストを下げ、電気自動車の価格や維持費に反映してほしいですね。
全固体電池搭載BEVが期待されるトヨタや日産
これまでの情報で「全固体電池」のワードが絡んだモデルは以下になります。
レクサスエレクトリファイドスポーツ2026|次世代BEVテクノロジー搭載最新モデル |
新型スープラ2025-2026|BEV・HEV/PHEV(直6 3.0Lターボ予想)&FR |
新型GT-R EV R36型2028|全固体電池搭載EV。ポルシェタイカン4S対抗 |
さて、全固体電池とは何なんでしょうか?いいことあるの?
全固体電池、最大のメリット
全固体電池は
液漏れに関する不安がない |
小型化が可能 |
円や角以外の自由な形状で作ることができる |
というポイントでリチウムイオン電池より優れているようです。
現行リチウムイオン電池より、クルマへの搭載スペースが工夫可能になります。
いま搭載できる「電池の数」より、多くの数を搭載可能になり、航続距離の延長も可能になるようです。
このような特徴により、リチウムイオン電池よりも、自由度の高さを生みます。
新形状のEVモデル誕生に繋がる
例えば、日産Hang-Out。

日産は早くて2024年までに、遅くて2028年までに全固体電池搭載車を普及させる計画です。
さて、まだまだ全固体電池には、優れたポイントがありますよ。
全固体電池は充電速度が非常に速い
現行の電気自動車は高性能でも「80%急速充電」に「30分」要す
これに対して、全固体電池は「フル充電」が「数分」で可能です。
運用性能が格段に上がるため、長距離ドライブにおける電気自動車の弱点がなくなります。
パワーに関しても強いです。
全固体電池は出力向上も果たす
全固体電池は出力特性向上にも期待できるため、スポーツカーに搭載するには大きな利点になるでしょう。

逆に、ノーマルタイプの電気自動車だと、出力向上への影響はそれほどないということです。
ただ、全固体電池は「エネルギー密度が高まる」特徴も持つので、
電池搭載数を減らせる |
航続距離を延ばせる |
という利点を活かすことが可能になります。
これから登場する全メーカーBEV全車種のパフォーマンス向上に期待できるというわけです。
高温・低温に強い
全固体電池はリチウムイオン電池に比べ、広い動作温度域(高温・低温)にも期待できます。
高温・低温どちらの環境でもより安定した電池動作が可能と確認されています。
リチウムイオン電池は低温時、化学反応が起こりにくい環境下となり、作動域が落ちます。
しかし、全固体電池は”凍結”が起こらないと言われ、作動時の性能維持・サイクル特性に優れたバッテリーなんです。
全固体電池はさまざまな電動車に搭載できる
プラグインハイブリッド(PHEV) |
ハイブリッド(HEV) |
燃料電池車(FCEV) |
どのジャンルにも恩恵があり、派生の多様化ができる電池が、全固体電池なんです。
ここまで、いい点を述べてきました。しかし、なんにでも相反するデメリットは存在します。
そこをお話していこうと思います。
電池全般に関する心配材料もありますよね。深く掘って見ていきます。
全固体電池のデメリット
全固体電池は製造に難点がある
新テクノロジーに共通する問題点として、製造の難しさが挙げられます。
2020年代に実用化を目指しているものの、実現しませんでした。
あらゆる車種に同時展開する普及力がないのもポイントかもしれません。
まずは一部の上級車種にのみ搭載されるでしょう。
初代プリウス(ハイブリッド車)の普及速度 |
プリウス・プリウスαのリチウムイオン電池の普及速度 |
をイメージするとわかりやすいかもしれませんね。
しかし、プリウスが一気に普及したように、全固体電池搭載車の普及もあるターニングポイントから一気に普及します。
全固体電池はコスト面で当初問題に?
5年以上一般普及まで時間がかかると予想されます。
「スペック面では突出したメリットがない」ことを指摘する声もあり、今後の研究に期待がかかっています。
これらがデメリットです。
では、最後に、現行リチウムイオン電池との違いや疑問点を見ていきましょう。
全固体電池はリチウムイオン電池より優れている?
実は、全固体電池はリチウムイオン電池をベースに研究が進められています。
上記のような特性は、リチウムイオン電池の延長線上にあるものです。
「すごい高性能で、画期的な電池!?」と思ってた人にとっては、ちょっと残念な感じがしますね(苦笑)
リチウムイオン電池のメモリー効果はないので、継ぎ足しの充電が可能というメリットは引き継がれます。
高温化における発熱膨張の問題は解決?
発熱膨張は全固体電池化によって抑えられるというのが研究側の結論
リチウムイオン電池の膨張によるトラブルは
電気自動車 |
リチウムイオン電池搭載ハイブリッド車 |
において世界的にも問題はないようです。
生活により近いノートパソコンやスマホは、問題点がすごく表に出ますよね。
同じトラブルが全固体電池にも表れるのではないか?と心配になります。
しかし、電気自動車が普及していく過程で追々解決していくでしょう。
国内メーカーは皆、全固体電池開発中?
EVで先行イメージの強い日産やホンダは、全固体電池の研究に直接関わっていないようです。
ただ、日産から全固体電池搭載車発売の発表がありましたよね。
これは全固体電池を扱うのは電池メーカーで、自動車メーカーと提携関係にあれば、どのメーカーも参入可能なためです。
普及の目途が立てばどのメーカーも利用していくでしょう。
トヨタの新型BEV全般をはじめ、日産リーフ・ホンダeに、全固体電池が搭載される可能性も出てきます。
トヨタは全固体電池スバル・ダイハツ・マツダ・スズキへ提供?
協業関係にあるスバル・ダイハツ・マツダ・スズキには、技術提供する可能性が高まります。
例えばマツダのBEVモデルに利用されれば
マツダMX-30の性能が劇的に変化 |
MX-30と別の電気自動車が性能向上 |
といった可能性も出てきます。
また、もし全固体電池をダイハツ・スズキが軽自動車に搭載したら?
BEVが日本で一気に普及するような大変革を起こしそうですね。