新型セレナe-POWERやノートe-POWERに搭載される「e-POWER Drive」や、リーフの「e-Pedal」システムは、アクセル操作だけで加速・減速・停止まで行えます。(ストップランプ連動)
ワンペダルドライブと呼ばれ人気で、ドライブモード切替スイッチで「Sモード」や「ECOモード」に設定するとアクセルOFFで強い回生が働く走りができます。
ですが、走行中はアクセルペダルに足を乗せたままON/OFF操作を繰り返す必要があり、アクセルとブレーキを交互に使い分ける従来の操作に比べて、「逆に疲れないのかな?」と思います。
もちろん、従来通りアクセル・ブレーキ操作で運転できる「ノーマルモード」でも運転は可能です。
どちらが好ましいかは個人個人の好みや「慣れ」だと思いますが、e-POWER Driveのワンペダルドライブが持つ特徴を調べてみました。
目次
e-POWER Driveワンペダルアクセル&ブレーキ操作
アクセル・ブレーキの交互操作よりe-POWER Driveは「楽」
普段から、アクセルを細かく調整して加速・減速の両方にアクセルペダルを使用しているドライバーであれば、ワンペダル操作のほうが「楽」と感じるでしょう。そして、理解も早いと思います。
「停止」に回生を使用せずブレーキを併用すれば、停止寸前までワンペダルで減速し、完全停止でブレーキを踏むことで、右足の負担が和らぐ感覚があるはずです。
実際、ワンペダルドライブを経験した人の8割が、アクセル・ブレーキの交互操作よりも「ワンペダルのほうが操作が楽」だと感じているようです。
特に、発進・停止が多い街乗りや渋滞のときが一番、その恩恵を感じられるとのこと。
一方でワンペダルの感覚に「慣れないと恐い」という意見もありました。
e-POWER Driveは加速と減速の調整が難しい
e-POWER Driveは、モーターによる力強いトルクで加速し、アクセルを戻すときに強い減速力を発揮するため、アクセルペダルを急に離すと急ブレーキがかかって驚く人も多いようです。
e-POWER Driveのアクセル操作(すべてをON・OFFで調整)に慣れるまでは、
- 加速~停止までの足の動作
- アクセル・ブレーキを使い分けるタイミング
頭の中でごちゃまぜになるかもしれませんね。混乱したまま操作を行うと、例えば以下のような状況が考えられます。
反応遅れ
e-POWER Driveは操作が難しいとはいえ、直線でアクセルを踏んで加速するだけなら誰でもできるでしょう。
しかし、コーナー手前の減速領域、そしてコーナーを曲がるときにワンペダルの調整(微妙なアクセルのON/OFF操作)が必要になります。
また、もし急に横断歩道で人や自転車が飛び出してきたら、ブレーキペダルに足を移す動作も頭に入れておかなければなりません。そのとき、慣れていないと
- ワンペダルの停止機能を使うのか?
- 従来通りブレーキを踏むのか?
で「一瞬の迷い」が生じ、高いリスクを抱える可能性もあります。
また、アクセルだけで3つの動作(加速・減速・停止)を調整できるので、特に「停止」の機能を生かすためにアクセルから足を離せません。
ということは、長時間速度を一定に保つ高速道路では、常に右足に意識が集中します。
高速の運転には不向き?
一定速で巡行が続く高速道路では、「足が疲れた~」と思って気を抜いてアクセルを一気に離すと、回生が働いて「急ブレーキ」になってしまわないのか。
そんなワンペダルの弱点は補強されており
- 50km/h程度からアクセルOFFにしたときの最大減速Gは「0.15G」
- 70km/h以上の速度では回生感度を抑制して一定走行を可能にする制御
が行われている、とのこと。
この制御の体感がどれほどか、試乗する以外に感覚を説明できないのですが、しっかりユーザーの心配を安心に替える機能は用意されているようです。
では、実際に運転をした人(NOTE e-POWER所有者や体験者)はどう感じているのでしょうか。
e-POWER Drive|評判・評価
MT好きの人でも、AT感覚なのに「自分で操作できる」楽しみがある意見が多いです。
e-POWER Drive|操作の楽しみ
渋滞時の走行がとても「楽」
e-POWER Driveは、前方の停止車両・赤信号の停止線に合わせて、アクセルペダルの強弱でタイミングをとって停止も可能。
「マニュアル的操作」を楽しめる運転ができます。
Gによる速さを体感できて楽しいのに燃費もいい
試乗でe-POWER Driveを体験。アクセルを踏み込むとシートに背中が押しつけられる「G」を体感。アクセルを離せばMTの「シフトダウン」のような減速感覚を味わえて興奮しました。
それほどのパワー走行であっても、燃費は20キロをマークしていて低燃費なことに感動しています。
「クセが強い」けどおもしろいe-POWER Drive
ガソリンMTのエンジンブレーキのような感覚を味わえて、そのまま「停止」までする面白さがあります。Sモードの場合、加速度はプリウスのモーター発進以上の力強い加速です。
上り坂⇔下り坂のコントロールが楽しい
上り坂と下り坂の速度が一定感覚で運転できます。上り坂はモーター駆動のパワーで力強いのは当然です。
一番体感できるのは下り坂で、ワンペダルはアクセルの加減のみで自分が想定するスピードで走行が可能なんです。さらに、回生発電でバッテリーが充電されていくので、なおさら楽しめます。
楽なのは伝わるけど、e-POWER Driveにはクセがあり、注意することもあります。
e-POWER Drive|操作の特徴・注意点
ブレーキを踏まずに走れる「楽しさ」が疲れを上回る
e-POWER Drive操作|特徴
- マニュアル車の「クラッチ切り替えなし」という感覚
- 渋滞は圧倒的にワンペダルが楽。ブレーキを踏まずに「停止」まで可能
- アクセルペダルを離し「一定のGがかかる場合」ブレーキランプが自動で点灯するので安心
- 走行中はアクセルを踏み込んだまま細かいON/OFF操作を繰り返すけど「疲れる感覚は少ない」
- アクセルOFFにのみ「回生」が発生する
- ブレーキには回生協調機能がなく普通のブレーキペダル感覚で安心感がある
e-POWER Drive操作|注意点
- 渋滞で一番後ろについたら後続車両の追突防止のためにストップランプ点灯(ブレーキON)が必要
- 停止する瞬間はブレーキランプが点灯しないのでブレーキを踏む動作が必要
- 登坂ではブレーキ操作が必要。登坂発進では「2秒間下がらないアシスト機能」あり
- 急坂はサイドブレーキを併用した発進が無難
新技術なので慣れないこともあり、やはりミスや恐い体験をされている人も多いです。
e-POWER Drive操作|うっかりミス・コワかった体験
- 信号停車中にブレーキを踏まないままECO⇒Sモードに変更したらクリープで進み始めて驚愕
- (オプションで「オートブレーキホールド」を設定すれば解決?)
- 停車中は車間距離を十分に取り、ブレーキは踏んでおくことをお勧めします
のように慣れない新技術には、デメリットも存在するようです。
e-POWER Drive|デメリット
- e-POWER Driveは人によって「慣れ」が必要
- 逆に慣れるとアクセルを離すタイミングがゆっくりになり慌ててブレーキ踏むことがある
- 慣れない運転当初は、信号停止の白線より、かなり手前で止まってしまう
- 運転中に気を抜いてアクセルを離すと一気にブレーキかかり疲れにつながる場合も
- 道路状況の流れがいいときはノーマルモード(従来の操作)のほうが楽かもしれない
- アクセルを強めに踏み込むと少し怖いくらいに加速してGがかかる
- 制限速度40km以下の道路ではスピードが出すぎないように「ECOモード」を利用します
上記のように良い点・注意する点を踏まえると、e-POWER Driveを楽しめる人も楽しめない人もいるのかもしれないですね。
e-POWER Drive|楽しめる人・楽しめない人
e-POWER Driveのワンペダル操作に「向く人・向かない人」と言ってもいいかもしれません。
想像で書いた管理人個人的な意見です。
初心者
自動車学校の教習車は、MTもATもアクセルとブレーキ操作で運転を覚えていきますよね。初心者の間はその感覚を覚えるだけで精一杯です。
晴れて免許を取得して、e-POWER Drive搭載モデルを欲しくなった場合、まだアクセル開度を細かく制御する感覚に慣れない初心者は、e-POWER Driveの走行中に立ち往生するかもしれません。
アクセルとブレーキを交互に使い分ける操作感覚を身につけたばかりですから。
ワンペダル操作は、3つの役割(加速・減速・停止)を果たしますが、本来アクセルは「加速」のみで体が覚えています。
そこに「減速」と「停止」=回生ブレーキの役割が加わっているため、ブレーキ操作を忘れてしまう可能性が考えられます。
解決策があるとすれば、購入当初は人がいない広い場所でワンペダルの練習をするほうが安全ですね。
普段のドライブは、アクセルとブレーキ操作で運転できる「ノーマルモード」を利用したほうがより安心でしょう。
MT熟練ドライバー
アクセルONと加速、アクセルOFFと減速の速度調整感覚に優れる熟練ドライバーであれば、e-POWER Driveの加速・減速・停止感覚をすぐに身につけられるでしょう。
また、道路状況による加速・減速・停止の判断力も磨かれているので、一旦ワンペダル操作を覚えてしまえば、とても簡単で楽しい操作方法と感じるのではないでしょうか。
上記、”e-POWER Driveが楽しい”という感想を持ったユーザーは、MT運転に慣れ、技術も相応にあるドライバーだと思います。
e-POWER Drive|まとめ
新型セレナe-POWERの車重は1700キロ級。ノートe-POWERは1200キロです。
ノートe-POWERよりも500キロ車重が増える新型セレナe-POWERには、十分なモーター駆動のトルクが設定されているので、モタつきを感じることはないでしょう。
でも、背の高いミニバンで車重もある分、ノートe-POWERに比べると「ワンペダルで減速・停止までもっていく状況」には難しさも若干あるかもしれませんね。
販売前の試乗を体感している人は、「雲の上を走るように滑らかな走行感覚を味わえた」と言っているので、心配はないのかもしれませんが。