三菱ランサーEVO復活の行方と日本市場の未来
ランサーエボリューション――。
その名前を聞いただけで胸の奥がざわつく人は、今も多いはずです。
2016年に生産が終わってから、もうすぐ10年。
「エボは終わった」「時代が変わった」
そんな言葉が当たり前のように語られてきました。
でも実はここ最近、三菱の内部から“まだ完全には消えていない希望”が静かに姿を見せました。
そしてその動きは、日本市場にとっても無関係ではありません。

この記事では、
「EVO復活は本当にあるのか?」
「もし実現したら、日本市場はどう動くのか?」
この2つを深く掘り下げながら、ファンとしてのワクワクと現実的な視点の両方をお届けします。
EVOは終わっていない。
むしろ、このタイミングだからこそ語る意味がある――
そんな未来の断片を一緒に見ていきましょう。
■ “EVOの魂はまだ残っている”と言わしめた三菱の一言
ジャパンモビリティショー2025。
三菱は新型デリカD:5、軽EV「デリカミニ」の次世代版、3列SUVの新コンセプト「エレバンス」などを披露しましたが、スポーツモデルは公開されませんでした。

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ただ、その裏で心が震えるような一言が語られました。
オーストラリアメディアDriveのインタビューで、三菱のエンジニア澤瀬薫氏はこう語ったのです。
「もちろん、ランサーエボリューションには夢があります。それは私の個人的な夢です」
この“夢”という言葉。
技術者が語るとき、それは単なる憧れではなく 「実現可能性がある対象」 にだけ向けられるものです。
N社、T社、H社――どのメーカーも電動化と走りの融合を探っている時代。
三菱がEVOを語った意味は想像以上に重い。
さらに澤瀬氏は続けます。
「私たちは多種多様な技術を保有しています」
「電動化の性能は十分に理解している」
この言葉が示しているのは、
次世代EVOは“電動化×S-AWC”のハイブリッドスポーツになりうる という新しい道です。
■ 電動化で蘇る可能性:PHEV × S-AWC の未来
三菱がいま最も強い領域は、言うまでもなく PHEV(プラグインハイブリッド)。
現行アウトランダーPHEVは302馬力(225kW)を誇り、
次世代コンセプト「エレバンス」では 4モーター+CN燃料エンジン まで示されています。
四輪制御の根幹となる S-AWC は進化を重ね、
ラリーで鍛え上げた三菱の“走りの哲学”そのもの。
理論上、この組み合わせをスポーツセダンに最適化すれば――
現代版ランサーEVOは十分に再構築できる。
むしろ、ガソリンだけのエボより速く、しなやかで、時代に合った形になる可能性すらある。
三菱はただスポーツを作っていたメーカーではありません。
“技術の三菱”と言われた時代を知る人なら、
彼らのAWDの完成度がいかに突出していたか理解しているはずです。
電動化は、EVOを終わらせるのではなく――
EVOを再び強くするための道になる のかもしれません。
■ なぜ? ― いまEVO復活が語られ始めたのか
ここで本題に踏み込みます。
「なぜ今になってEVO復活が現実味を帯びているのか?」
この“なぜ”を掘り下げると、三菱の戦略変化が見えてきます。
① SUV・PHEV戦略で企業体力が戻った
かつて苦しんでいた三菱ですが、
アウトランダーPHEVとデリカD:5の成功で収益基盤が安定。
ハイパフォーマンス車の開発に再投資できる状況に戻りつつある。
② 電動スポーツの時代が追い風になった
世界的に“電動AWDスポーツ”への関心が高まっている。
三菱が長年磨いてきた AWD × モーター制御 はまさにそのど真ん中。
③ ルノー・日産アライアンス基盤で開発コストの壁が薄まった
ランサーの生産終了がずっと復活の壁だったが、
共通プラットフォームCMFが使えるなら話は変わる。
④ ファンの熱量がずっと消えていない
SNSではEVOのレンダリング投稿が毎回バズる。
Hycadeの「EVO XI」デザインは世界的な反響を生んだ。
メーカーが再始動するには十分な理由になる熱量。
これらが重なり、
“EVOが完全に消えたわけではない”
という状況が生まれているのです。
■ 「日本市場」はどう動く?EVO復活シナリオの現実味
ここからは後半テーマ、
「EVO復活後、日本市場はどうなるのか?」を深掘りします。
日本の自動車市場は、10年前とはまったく違います。
● セダン市場は縮小
クラウンはSUV化、WRXも販売台数は限られる。
“エボvsインプ時代”の舞台はもう存在しない。
● それでも“象徴的モデル”への支持は根強い
・GRヤリス
・GRカローラ
・シビックタイプR
・GT-R
少量でも“ブランドの象徴”として売れるクルマは残っている。
EVOが戻るなら、この枠に入ります。
● 電動化の日本市場との相性の良さ
日本は世界でもトップレベルのハイブリッド/PHEV市場。
もし新生EVOが ハイブリッドAWD なら、
日本はむしろ優先投入国になりやすい。
● 想定される価格帯とスペック
あくまで予測ですが――
・出力:350〜450ps級
・方式:PHEV 4WD × S-AWC
・価格:550〜650万円帯
このあたりが一番リアルです。
GRカローラ(525万円)やタイプR(599万円)と競合する位置ですね。
日本は台数ではなく 文化・象徴としての価値 がポイントになる市場です。
EVOはまさにそのためのモデル。
■ “ラリーアート”という伏線
現在のRalliartは外観中心のライトブランドですが、
澤瀬氏は「幅広い活用を検討」と語っています。
もしRalliartが本格復活するなら、
その中心に据えられるのは当然EVOです。
・Ralliart専用パーツ
・S-AWC強化モデル
・国内モータースポーツ参戦
こんな展開が動き始めるかもしれません。
EVOの復活は、Ralliart復活のストーリーとセットで語られる可能性が高い。
■ 終わりに:エボは“過去の名車”で終わらない
EVOは、ただの速いクルマではありません。
・WRCで鍛えられた哲学
・世界を驚かせたS-AWC
・“技術の三菱”を象徴するモデル
・ファンの人生の一部となった存在
その全てがあるからこそ、
復活の話題が出るだけで胸が熱くなってしまう。
今回の三菱内部からの“夢”という言葉は、
そんなEVOの火がまだ消えていないことを示してくれました。
電動化の時代は、過去を捨てるためにあるのではなく、
過去の名車の哲学を 未来の姿へ翻訳し直すためにある のかもしれません。
新しいEVOがもし生まれるなら――
それはきっと、かつてのEVOの“続き”ではなく、
次世代に向けてのまったく新しい挑戦 になるはずです。
その日を、少しワクワクしながら待ちましょう。












