トヨタスープラ生産終了【スポーツカーの伝統継承】モータースポーツへの挑戦は続く
トヨタ自動車は、2シータースポーツカー「スープラ」の生産を終了すると発表しました。
「A90ファイナルエディション」の投入を最後に、BMWとの協業で17年ぶりに復活を果たした現行スープラの歴史はいったん閉じることになります。
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- トヨタは2シータースポーツカーGRスープラ生産終了発表
- 現行スープラはBMWとの協業で17年ぶりに復活したモデル
- トヨタはスープラの源流とも言えるセリカの新型車開発
- スープラは初代モデルから40年以上の歴史
- 現行モデルはモータースポーツの現場で当面レースカー継続
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次期型の投入予定は不明ですが、トヨタ幹部はスープラの源流とも言える「セリカ」の新型車開発について言及しており、トヨタのスポーツカー系譜の行く末が注目されます。
スープラの歴史
スープラの初代モデル(A40型)が投入されたのは1978年
コンパクトクーペ「セリカ」の上位モデル「セリカXX」として登場し、北米向けでスープラの名称を採用しました。
ロングノーズに直列6気筒エンジンを搭載したことがセリカとの最大の違いです。
3代目(A70型)からは日本向けもスープラを名乗り、セリカから独立。高級クーペ「ソアラ」と車台を共通化し、ボディーも大型化しました。
4代目(A80型)は、最高出力280馬力を発揮する排気量3L直列6気筒ターボエンジンを搭載し、トヨタのトップスポーツカーとしての地位を確立。
2001年に公開された映画「ワイルドスピード」の主人公の愛車として登場し、国内外で強い人気を誇ります。
5代目となる現行スープラ(A90型)は2019年にデビュー
4代目のA80型が生産中止となったのが2002年で、新型投入には実に17年を要しました。
当時、日本市場から姿を消したスポーツカーはスープラだけではありません。日産シルビアやマツダRX-7など、当時の排ガス規制をクリアできず、国産スポーツカーは冬の時代に突入しました。
スポーツカーを取り巻く状況
そもそも販売台数が少なく、運動性能を求めるがゆえに専用設計が必要となるスポーツカーの採算性は低くなりがちです。安全性能や環境性能などの要求も年々厳しくなる中で、スポーツカーを投入するハードルはますます高くなります。
こうした中、トヨタはBMWとの協業という形で、スープラ復活の道筋をつけました。
トヨタとスバルで共同開発した兄弟車、トヨタ86(ハチロク)とスバルBRZ同様、スポーツカーの生き残り策として他社との協業に活路を見いだしました。
開発や生産にかかるコストを単純計算で折半できる共同開発の手法によって、歴代スープラが採用したフロントエンジン後輪駆動(FR)と直列6気筒エンジンという特徴を5代目でも継承することができました。
しかし、海外メーカーと共同開発し、生産をマグナ・シュタイヤー社に委託するという形はトヨタにとって異例尽くしでした。
BMWは同じ車台でオープン2シーターの「Z4」を開発しましたが、共有化したのは車体骨格のみで、内外装の9割は両車で別の部品を使い、スープラとZ4は兄弟車を思わせない全く別ものに仕上がりました。
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モータースポーツでの活躍
5代目をベースとしたレース専用車「GT4」が世界各国のレースに出場しているほか、ドリフト競技やナスカーなどスープラはさまざまなモータースポーツでも活躍しています。
現行モデルの生産は終了しますが、モータースポーツの現場では当面、レースカーとして使用が継続されることになります。
今後の展開
スープラの次期型について、現時点でトヨタから正式なアナウンスはありません。
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5代目の開発で協業したBMWとは9月に新たな基本合意書を締結しましたが、今回の協業は水素分野が軸となり、スポーツカーの共同開発は盛り込まれませんでした。
一方、スープラの源流であり、06年に生産を終了したセリカは、豊田章男会長が「復活を執行メンバーにお願いしている」と言及し、最高技術責任者(CTO)の中嶋裕樹副社長も「セリカ、やります」と開発準備を進めていることを認めています。
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また、モータースポーツ向けのベース車両としては、2022年の東京オートサロンで公開したGR GT3コンセプトの市販版の開発が進んでいます。
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現行スープラは生産終了となりますが、スポーツカーの伝統継承とモータースポーツへの挑戦は今後も続いていくでしょう。