🏁【内燃機関STI、最後の矜持】Performance-B STI Conceptが示す“逆風の時代に抗う走りの魂”
昔、初めてWRX STIのクラッチをつないだ瞬間、背中を押されるような加速にゾクッとした。
それは「機械を操る」という感覚そのもので、心臓がエンジンと共鳴していたような気がした。
今、時代は電動化に向かっている。音も振動もなく、車が静かに走る時代。
そんな中でスバルが2025年10月29日に東京ビッグサイトで公開するのが、
あえて“内燃機関”を選んだ異端児――Performance-B STI Concept。

EVがもてはやされる時代に、なぜあえてガソリンエンジンを残したのか?
この記事では、このモデルが何を象徴し、なぜスバルがこの道を選んだのかを、
“走りを愛する人”の視点から語りたい。
1. Performance-B STI Conceptとは──「内燃スポーツの継承者」
スバルが「Performanceシーンを象徴するICE(内燃機関)コンセプト」と位置付けるこのモデル(画像左)。

見た目は一見、現行WRXの延長線上にあるように見えるが、
実際には「STIブランドの魂を再定義する挑戦的な1台」。
ボディは5ドアハッチバックフォルム
ワイドフェンダー、専用グリル、大型リアウイング――
どこから見ても“本気のSTI”。
水平対向ターボエンジン+シンメトリカルAWDというスバル伝統のレイアウトを基盤に、
現代的なボディキットと軽量化設計を融合させている。
つまりこのクルマは、「原点回帰と進化の同居」。
電動時代における“ICEスポーツの最終進化形”とも言える存在。
2. なぜいま内燃機関なのか──“音”と“匂い”を残す理由
Performance-Bが注目される最大の理由は、
スバルが“あえて”エンジンを残したことにある。
電動化が進むなかで、環境や効率を最優先するのは当然の流れ。
しかしスバルは、それだけでは“走る愉しさ”が失われると考えている。
STIのファンにとって、排気音は鼓動であり、振動は対話。
EVの静けさにはない“生きた感覚”がそこにある。
Performance-Bはその本能的な体験を未来へつなぐ「抵抗の象徴」でもある。
スバルは言う。
「ドライバーの意志と機械の動きがリンクする感覚を、これからも守りたい」と。
それは単なるエンジン車の延命ではなく、
“感情のドライビング”を未来に残すための選択だ。
3. デザインが語る「過去と現在の対話」
Performance-Bの造形は、どこか懐かしく、それでいて挑発的。
ヘッドライトやフード形状には現行WRXの面影があるが、
リアビューの張り出しやエッジの効いたフェンダーは2000年代STIを想起させる。

「懐かしいけど、新しい」。
まるで往年のファンに「まだ俺たちはここにいる」と語りかけてくるよう。
さらに内装では、シンプルでドライバー中心のレイアウトが想定されている。
EVに多い“ディスプレイ優先のコクピット”とは真逆の、
「操作してナンボ」の世界。
それがスバルの誇りであり、ファンが求める“感触”。
4. GRカローラへの挑戦──スバルらしい“反骨”
このモデルのライバルとして真っ先に名前が挙がるのが、トヨタのGRカローラ。

同じ5ドアハッチバック、同じAWD、同じターボ。
しかし、狙っている方向性はまったく違う。
GRカローラが「攻めの走り」を武器にしているのに対し、
Performance-Bは「繊細な制御」と「人との一体感」を重視している。
つまり、GRがサーキットの猛獣なら、STIは“山道の哲学者”。
スバルの開発陣はあくまで「ドライバーの心が反応する走り」を追求しており、
これが“スバルらしさ”の本質でもある。
その反骨精神こそ、STIのDNA。
誰かの真似ではなく、「自分たちの走りを続ける」ために存在しているのだ。
5. 「Performance-B」が示す未来──内燃の終着点ではなく、新たな出発点
EVとICEの共存を掲げた今回のスバルの展示。
Performance-E(電動・右)とPerformance-B(内燃・左)の対比は、
まるで“過去と未来の対話”のようだった。

だがスバルが本当に伝えたいのは、どちらが優れているかではなく、
「選ぶ自由を残す」ということ。
Performance-Bは、「まだガソリンを愛していい」と言ってくれる存在。

環境のためにすべてを手放すのではなく、
「心が動くクルマを選ぶこと」も人間らしさの一部だと教えてくれる。
つまり、このクルマは“終わり”ではなく、“宣言”だ。
「私たちは、まだ走ることを楽しむために生きている」と。
6. 体験としてのPerformance-B──「操る愉しさ」を取り戻す
STIの真価は、スペックシートには書けない。
アクセルを踏んだ瞬間の反応、ステアリングの重み、足回りのしなやかさ。
すべてが“人の感覚”に合わせてチューニングされている。
Performance-Bは、その哲学をさらに磨き上げたクルマ。
モーターアシストではなく、人間の勘と技術で速く走る。
そこには、ドライバーが主役であるというSTIの信念が息づいている。
ハンドルを握った瞬間、きっと誰もが思うはず。
「やっぱりこれがスバルだ」と。
7. 結論──「時代に逆らう勇気」が、スバルらしさ
電動化という大きな潮流の中で、
スバルがPerformance-Bを出した意味は明確。
それは、「心で走るクルマづくりを続ける」という宣言。
STIの名を冠する以上、ただの内燃車では終わらせない。
人と機械の“つながり”をもう一度見つめ直す、
そんな哲学的なクルマなのだ。
スバルが今も私たちの心を動かす理由。
それは、どんな時代になっても“走ることの喜び”を忘れないからだ。
Performance-Bは、その想いを象徴する「未来への反逆者」。
静かな時代の中で、ひときわ力強く心を鳴らしている。













