トヨタ「センチュリー」がついに独立ブランドへ──クーペ開発が示す“静かなる革命”とは？

トヨタが誇る最高級車「センチュリー」が、新たなステージに踏み出そうとしています。
これまでトヨタブランドの中で“別格の存在”として扱われてきたセンチュリーが、
今後は独立したブランドとして展開される方針が明らかになりました。

さらに、現在はセダンとSUVに続き、2ドアのクーペモデルが開発中とのこと。
「ショーファーカー（運転される車）」から「ドライバーズラグジュアリー（自ら操る車）」へ──。

トヨタが描く“静かなる革命”とは一体どんなものなのか。
今回はその狙いと未来像を、ブランド戦略の視点から深掘りしていきます。

1. センチュリーがブランド独立へ──トヨタの本気が見える理由

センチュリーは1967年、トヨタグループ創始者・豊田佐吉氏の生誕100周年を記念して誕生しました。
半世紀以上にわたり、日本の要人や企業トップの送迎車として、静けさと品格を象徴してきた存在です。

そして2023年にはSUVタイプが登場し、時代に合わせた進化を遂げました。
そんなセンチュリーをトヨタは今後、「ブランド」として独立させる方針を発表。

これは単なる車種の追加ではなく、“トヨタの中のトヨタ”を確立する試み。
つまり、「センチュリー＝トヨタの頂点」を明確にし、世界の高級車ブランドと肩を並べる構想が見えてきます。

新たに開発中とされるのが、2ドアのセンチュリー・クーペ。
従来の「後席で過ごす」高級車とは異なり、オーナー自身が運転するセンチュリーという新たな価値観を提示しています。

エンジンはSUV同様、3.5L V6ハイブリッド（またはPHEV）を軸に、次世代パワートレインが採用される可能性も。
さらにデザインは、「セダンの重厚感＋SUVのダイナミズム」を融合させた
“和のグランドツアラー”のような存在になると予想されています。

このクーペは、おそらく2025年のJapan Mobility Showでお披露目される見込み。
トヨタが誇る職人技と最新技術を融合させた、「日本的威厳の再定義」として注目を集めそうです。

レクサスが「グローバル×テクノロジー×感性」を軸に展開しているのに対し、
センチュリーは「日本的×格式×静寂」を重視しています。

トヨタはこの2本柱で、“世界におけるラグジュアリーの定義”を再構築しようとしているのです。

レクサスが「未来の高級」を描くなら、センチュリーは「静の美学」を体現する。
その対比こそがトヨタ全体のブランド価値を押し上げるカギになるでしょう。

トヨタが目指すセンチュリー像は、単なるロールスロイスの模倣ではありません。
むしろ「日本人の美意識でつくる最高級車」という独自の立ち位置です。

つまりセンチュリーは、“スピード”よりも“佇まい”で魅せる存在。
それは、音や光を抑えた美術館のような空間に近いかもしれません。

年	予想される展開
2025年	クーペ版センチュリーのコンセプト初披露（Mobility Show）
2026年	セダン／SUVの内外装統一と新グレード追加
2027年	センチュリーブランドの正式独立・販売網拡大
2028年	EVまたは限定生産クーペの市販化開始