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保険を使わないほうが得になる境界線

車のトラブル
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ガードレールにこすった、駐車場で柱に当てた。修理見積もりが8万円と言われたとき、保険を使うべきか自腹で払うべきかで迷う人は多いです。

保険会社に聞いても「お客様のご判断で」と言われて終わります。

判断材料になる数字が手元にないからです。ここでは、公表されている割引率の表を使って、いくらまでなら自腹のほうが得なのかを計算します。

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🔻 保険を使うと何が起きるのか

保険を使うと、翌年の等級が下がります。

下がり方は事故の種類で3つに分かれます。

相手にケガをさせた、相手の車を壊した、自宅の門にぶつけた。こうした事故で保険金が出ると3等級ダウンです。

盗難、水害、落書き、飛び石でフロントガラスにひびが入った。こうした自分に非がない損害は1等級ダウンです。

人身傷害保険や搭乗者傷害保険、弁護士費用特約、ロードアシスタンス特約だけを使った場合はノーカウント事故で、等級は下がりません。翌年はふつうに1つ上がります。

ここで見落とされやすいのが、等級とは別に「事故有係数」というものが適用される点です。3等級ダウンなら翌年から3年間、1等級ダウンなら1年間、同じ等級でも割引率が低いほうの表が使われます。つまり、等級が下がるだけでなく、その等級で受けられる割引まで下がるという二重の効果があります。

📉 割引率の表を見ると差がわかる

損害保険料率算出機構が出している割増引率は、無事故係数と事故有係数で別々になっています。7等級以上で差がつく仕組みです。

たとえば20等級なら無事故係数は63パーセント引き、事故有係数は51パーセント引きです。15等級なら無事故係数53パーセント引きに対して、事故有係数は28パーセント引きしかありません。

つまり、高い等級の人ほど無事故と事故有の差が小さく、中くらいの等級の人ほど差が大きいということです。これは直感と逆かもしれません。20等級だから使うと大損する、と思われがちですが、実際に大きく削られるのは12等級から16等級あたりの人です。

💴 3年分の差額を計算する

割引前の保険料を10万円と仮定して、3等級ダウン事故を起こした場合の3年間の合計を比べます。実際の保険料は年齢や車種で変わるので、あくまで構造を見るための計算です。

20等級の人が保険を使わなかった場合、3年間の保険料はおよそ11万1千円です。保険を使うと17等級の事故有からスタートするので、3年間でおよそ16万円になります。差は約5万円です。

16等級の人が保険を使わなかった場合、3年間でおよそ13万2千円です。保険を使うと13等級の事故有に落ちるので、3年間でおよそ22万3千円になります。差は約9万円です。

しかも、4年後の時点で等級そのものに差が残ります。使わなかった人は19等級、使った人は16等級です。追いつくまでにさらに年数がかかるので、実際の負担差は上の金額より大きくなります。

📏 境界線はどこか

以上を踏まえた目安です。割引前の保険料が10万円前後の場合で考えます。

修理費が5万円以下なら、どの等級でも自腹のほうが得になりやすいです。

修理費が5万円から15万円のゾーンは、等級によって答えが変わります。中位等級の人は自腹、20等級に近い人は保険を使ってもよい、という向きになります。

修理費が20万円を超えるなら、多くの場合は保険を使ったほうが得です。

そしてもうひとつ、忘れてはいけないのが免責金額です。車両保険には自己負担額が設定されていることが多く、5万円の免責がついていれば、8万円の修理で受け取れるのは3万円です。3万円のために3年間の値上がりを受け入れるのか、という話になります。契約内容の免責金額を先に確認してください。

📊 使う場合と使わない場合の比較

選択向いている状況合わない条件
保険を使う修理費が20万円超。相手がいて賠償が発生した免責金額が大きく、受け取れる額が少ない場合
自腹で直す修理費が数万円。等級が12から16のあたり手元の現金がない場合。分割手数料で逆転することがある
直さずに乗る見た目のキズだけ。機能に影響がない売却予定がある場合。査定で減点され、修理費以上に下がることがある
直さずに手放す修理費が車の価値に近い。10年以上乗っている車がないと生活できず、すぐ次を買う余裕がない場合

4つめの選択肢は見落とされがちです。修理見積もりが20万円で、その車の買取相場も20万円台なら、直す意味は薄くなります。直してから乗り続けるより、そのまま売って次に替えたほうが総額で安くなることがあります。

判断するには、自分の車が今いくらなのかを知る必要があります。修理費だけを見て決めると、この選択肢が最初から視界に入りません。

売り時の考え方から売り方の選び方まではこちらにまとめています。→ 車の売却で損しない手順 売り時から乗り換えまで

🚨 保険会社に連絡してからでも間に合う

よくある誤解として、保険会社に事故の連絡をした時点で等級が下がると思っている人がいます。そうではありません。

等級が下がるのは、実際に保険金が支払われたときです。連絡して見積もりを出してもらい、金額を見てから「今回は使いません」と伝えることができます。

むしろ先に連絡したほうが安全です。あとから症状が出たり、相手から連絡が来たりする可能性があるからです。連絡だけしておいて、使うかどうかは見積もりを見てから決める。これが一番損をしない順番です。

ただし保険会社によって取り扱いが違う場合があるので、連絡時に「使うかどうかは見積もりを見てから決めたい」と伝えて確認しておいてください。

🎥 もめたときに効くのは記録

自腹か保険かで悩む前に、そもそも自分の過失割合が正しいのかという問題もあります。相手のいる事故では、過失割合が10対0か8対2かで負担額が変わります。

ここで効くのがドライブレコーダーです。前後2カメラのモデルなら、追突された側の証明にも使えます。コムテックやユピテルの前後2カメラモデルは、駐車監視まで対応するものがあり、当て逃げの記録も残せます。

保険を使うか使わないかの判断は、事実がはっきりしていて初めて成り立ちます。

🙅 こんな人には向きません

この記事の計算が当てはまらないケースがあります。

相手にケガをさせた場合。対人賠償は金額が跳ね上がる可能性があるので、自腹で処理しようとしないでください。示談も自分でやらないほうが安全です。

免責ゼロで契約している場合。受け取れる額が変わるので、境界線は上の数字より低くなります。

会社の車や事業用の車の場合。ノンフリート等級ではなくフリート契約になっていることがあり、仕組みそのものが違います。

保険料が10万円と大きく違う場合。この記事の金額は割引前10万円を前提にした計算なので、保険料が倍なら差額も倍と考えてください。

📝 まとめ

判断の順番はこうなります。

まず保険会社に連絡して、見積もりを出してもらいます。次に自分の契約の免責金額を確認して、実際に受け取れる額を計算します。そのうえで、修理費が5万円以下なら自腹、20万円超なら保険、その間は等級を見て決めます。

中位等級の人ほど、使ったときの負担が大きいという点だけは覚えておいてください。20等級だから慎重に、という発想は逆です。

そして4つめの選択肢、直さずに手放すという道があることも頭に入れておくと、選択肢が広がります。修理費と買取相場を並べてみて、初めて見える答えがあります。

一括査定の使い勝手が気になる方はこちらもどうぞ。→ ユーカーパックの評判

売る前の準備で金額が変わる項目もあります。→ 車を売る前にやること7つ

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