停電したとき、最初に何をしますか?スマホの残量を確認して、懐中電灯を探して、車で充電できないかと考える——そういう動きをする方が多いと思います。
でも、実は最初にやるべきことは電気の確保ではありません。電気が戻るときに火を出さないための準備が先です。
この記事では、停電直後の3時間でやること・冷蔵庫と水まわりの対処・車をどこまで電源として使えるか・ポータブル電源が必要になる段階、を順番に整理しました。
⚡ 最初の3時間にやることは「電気の確保」ではありません
停電すると、まず考えるのは明かりと充電のことだと思います。スマホの残量を見て、懐中電灯を探して、電源が使えないかと考える。
でも、最初にやるべきことは別にあります。それは、電気が戻ってきたときに火を出さない準備です。
意外に思われるかもしれませんが、大きな災害で起きる火事の多くは、停電中ではなく電気が復旧したあとに起きています。阪神・淡路大震災では出火原因が特定できたもののうち約6割、東日本大震災では約7割が電気に起因する火災でした。
この記事では、停電した直後の3時間で何をどの順番でやるか、そして車をどこまで電源として使えるかを整理していきますね。読み終えたころには、慌てる場面がひとつ減っているはずです。
🔌 停電した瞬間にやること 3つ
順番があります。上から順にどうぞ。
まず、使っていた電化製品のスイッチを切って、電源プラグをコンセントから抜いてください。特に暖房器具、アイロン、ドライヤーのような熱を出すものは必ず抜きます。スイッチが入ったまま忘れられた家電が、復旧の瞬間に動き出すのがいちばん危ないパターンです。
次に、家を離れるかどうかを判断します。避難する場合や、長時間留守にする場合は、分電盤のブレーカーを落としてから出てください。消防庁も、停電中に自宅を離れる際はブレーカーを落とすことを推奨しています。
そして3つめが情報の確保です。停電の原因が何か、復旧の見込みはいつかで、この後の行動がまったく変わります。電力会社の停電情報ページをスマホで確認してください。地域全体なのか自宅だけなのかも、ここでわかります。
自宅だけ停電している場合は、災害ではなくブレーカーが落ちただけの可能性があります。分電盤を見て、漏電ブレーカーが下がっていないか確認してみてください。
🔥 電気が戻るときに火が出る 通電火災
ここが、この記事でいちばん知っておいてほしい部分です。
通電火災は、停電から電気が復旧したときに起きる火災です。倒れた電気ストーブが可燃物に触れたまま通電して出火する、落下物で傷んだ電源コードが通電時にショートする、浸水した家電の基板が復電でショートする。原因はさまざまですが、共通しているのは「誰も見ていないときに起きる」ことです。
風水害でも起きます。台風で停電したあと、復旧のタイミングで火災が相次いだ例が報告されています。地震だけの話ではありません。
そして厄介なのが、時間差があることです。壁の中の配線や家電内部が傷んでいると、復電から長時間経ってから発火することがあります。復旧した直後に何もなかったからといって安心はできません。
対処はシンプルです。復旧してからブレーカーを上げるときは、家電が壊れていないか、コードが傷んでいないか、近くに燃えやすいものがないかを確認して、少しずつ戻していく。焦げたようなにおいがしたら、すぐにブレーカーを落として消防に連絡する。
地震のときに自動で電気を遮断してくれる感震ブレーカーという器具もあります。ただし揺れを感知して作動する仕組みなので、台風などの風水害による停電では作動しません。ここは勘違いしやすいところです。
🧊 冷蔵庫は開けないでください
停電中の冷蔵庫は、扉を閉めたままにしておくのが正解です。
中の食品自体が保冷剤の役割をするので、開け閉めしなければ数時間は温度を保てます。逆に、何が入っていたか確認しようとして開けるたびに冷気が逃げていきます。
やるとしたら、停電の直後に一度だけ、必要なものをまとめて取り出すこと。そのあとは触らない。冷凍庫は冷蔵室より長く持つので、飲み物を冷やしたいときは冷凍庫のものを冷蔵室へ移すという手もありますが、それも一度で済ませてください。
停電が長引きそうなら、クーラーボックスへの移し替えを検討します。判断の目安は、電力会社の復旧見込みが半日以上先かどうかです。
🚗 車は電源になります ただし期待するほどではない
車があると心強いのですが、ここは正確に知っておいたほうがいいところです。
普通のガソリン車で使えるのは、シガーソケットからの電気です。ただしこの回路のヒューズは多くの車で10Aから15A程度なので、実用上の上限は120W前後になります。
これが何を意味するかというと、スマホの充電やノートパソコンは問題なくても、電気ケトルもドライヤーも電子レンジも動かないということです。インバーターに300Wと書いてあっても、シガーソケット側が120Wまでなら、それ以上は取り出せません。無理に使えばヒューズが飛びます。
もうひとつ、エンジンを止めたまま使い続けると車のバッテリーが上がります。エンジンがかからなくなると、いざというときに移動手段まで失うことになります。給電するならエンジンをかけた状態で、短時間に区切って使ってください。
そして絶対に守ってほしい点があります。積雪時や、周囲が塞がれた場所でエンジンをかけっぱなしにしないでください。排気が車内に入り込む一酸化炭素中毒で亡くなる事故が、毎年起きています。
一方、ハイブリッド車やPHEVの一部には、AC100Vのコンセントを備えたモデルがあります。この場合は1500Wまで使えることが多く、電気ケトルや小型の調理家電も動かせます。停電時の電源として現実的なのはこちらです。
ただし全車種に付いているわけではないので、自分の車に非常時給電システムがあるかどうかは、停電が起きる前に取扱説明書で確認しておいてください。「あると思っていたら付いていなかった」がいちばん困ります。
軽自動車でもこの機能を持つモデルが増えてきています。→ ダイハツ「K-VISION」誕生|軽の未来を変えるストロングHV
💧 電気より先に困るのは水とトイレです
停電すると、マンションではポンプが止まって水が出なくなります。戸建てでも、井戸水を使っている家は同じです。
そして水が止まると、いちばん早く限界が来るのはトイレです。ここは電気の心配より優先度が高いと考えてください。
停電に気づいた時点で、浴槽に水を張れるなら張っておく。ペットボトルの水がどれだけあるか数えておく。これだけで、その後の数日がかなり変わります。
なお、断水していないのに水が出ない場合、電気が復旧すれば水も戻ります。復旧見込みの情報がここでも効いてきます。
🔋 ポータブル電源が要るのは どの段階からか

ここまで読んでいただくとわかると思いますが、停電の最初の数時間は、実は電源がなくてもなんとかなります。スマホの充電は車で足ります。明かりは懐中電灯やLEDランタンで足ります。
ポータブル電源が本当に必要になるのは、停電が半日を超えたあたりからです。具体的にはこういう場面です。
冷蔵庫を動かし続けたいとき。夏場に扇風機やサーキュレーターを回したいとき。冬場に電気毛布を使いたいとき。医療機器を使っている家族がいるとき。在宅で仕事をしていて通信環境を維持したいとき。
このうち、医療機器がある家庭は別格です。
人工呼吸器や在宅酸素を使っている場合、停電は生命に直結します。
この場合は「あると便利」ではなく必須なので、機器の消費電力と必要時間をメーカーに確認したうえで、余裕を持った容量を選んでください。
選ぶときの基準は3つです。

容量(Wh)
動かしたい家電の消費電力(W)に、使いたい時間をかけた数字が最低ラインです。冷蔵庫を24時間動かすなら、実際には1000Wh以上ほしいところです。
出力(W)
容量が大きくても出力が足りないと、消費電力の大きい家電は動きません。電子レンジやドライヤーを想定するなら1500W以上が必要です。
電池の種類
リン酸鉄リチウムイオン電池を採用したモデルは、充放電のサイクル寿命が長く、防災用として置きっぱなしにする用途に向いています。数年後に使おうとしたら劣化していた、という事態を避けられます。
EcoFlowはこの3点をカバーしたモデルを幅広く出していて、家庭の防災用として選びやすいメーカーです。急速充電に対応しているので、停電の予報が出てから慌てて充電する、という現実的な使い方にも耐えます。
| 電源手段 | 使える電力 | 向いている場面 | 合わない条件 |
|---|---|---|---|
| シガーソケット | 120W前後 | スマホ・PCの充電 | 加熱系の家電を使いたい、エンジンをかけられない状況 |
| ハイブリッド車のAC100V | 最大1500W程度 | 半日から数日の停電 | その機能が付いていない車種、屋内駐車場や積雪時 |
| ポータブル電源 | 機種による | 屋内で静かに使いたい、医療機器がある | 数日以上の長期停電を単独でしのぎたい場合 |
| 発電機 | 大きい | 長期停電、屋外作業 | 集合住宅、燃料の保管場所がない、騒音が問題になる環境 |
車の給電機能とポータブル電源は、どちらか一方ではなく組み合わせるのが現実的です。車で充電しながらポータブル電源を屋内で使えば、排気ガスの心配なく家の中で電気が使えます。
車中泊を想定した車選びをしている方は、こちらも参考にどうぞ。→ 新型デリカD:6【2027年以降登場予想】次世代PHEV×D:Xデザインで“家族の冒険”を変える理由
⚠️ この記事が向かない人
いくつか、この内容が当てはまらない状況があります。
すでに避難指示が出ている場合
この記事は自宅にとどまる前提で書いているので、順番がまったく変わります。避難が最優先です。
浸水した家に戻る場合
水に浸かった家電や配線は、見た目に問題がなくても内部が傷んでいます。自分でブレーカーを上げず、電力会社か電気工事店に確認してもらってください。
在宅で医療機器を使っている場合
この記事の一般論では足りません。かかりつけの医療機関や機器のメーカーに、停電時の対応をあらかじめ確認しておいてください。多くの場合、専用の手順が用意されています。
そして、
集合住宅で発電機を検討している場合
排気と騒音の問題で現実的ではないので、この記事の比較表の最後の行は読み飛ばしてください。
📝 まとめ
停電したら、この順番です。
熱を出す家電のプラグを抜く。家を離れるならブレーカーを落とす。電力会社のサイトで復旧見込みを確認する。冷蔵庫は開けない。水とトイレの確保をする。ここまでが最初の1時間です。
そのあとで、スマホの充電を車で確保する。復旧が半日以上先だとわかったら、冷蔵庫の中身をどうするかを判断する。
そして電気が戻ったら、すぐに全部のブレーカーを上げないこと。家電とコードを確認しながら、段階的に戻してください。ここを丁寧にやるかどうかが、火事になるかならないかの分かれ目です。
停電は、備えている量ではなく順番を知っているかどうかで負担が変わります。今日この順番を覚えておくだけで、次の停電はだいぶ落ち着いて過ごせるはずです。
電源の備えを検討するなら、まずは自分の家で何を動かしたいかを紙に書き出すところからどうぞ。必要な容量が自然に決まります。


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