免許返納のメリット/デメリットとは|自主返納実施は75歳から行えるシステム
自動車免許を所有している人が今後、法的にも自動車を運転できなくなるよう申請できる免許返納。
その実施は75歳から行えるようになっており、”自主返納”というシステム名称になります。
高齢者による自動車事故の上昇傾向や制度の普及によって、免許返納率は2010年ごろから上昇気味です。
しかし、都道府県すべての平均値は”5%台”にとどまる数値となっています。2019年のデータはまだ出ていません。
全国平均値が”7%”を大きく超えた場合には、免許返納への大きなうねりが起こる可能性もあり得ます。
なお、返納率が最も高いのは2018年のデータにおいて東京都の”8%”、ついで大阪府の”7.3%”、最下位は茨城県/高知県/山梨県/岐阜県の”3.7%”となっています。
”返納率”は地域差がかなり大きいことがうかがえます。
免許返納のメリットとデメリットとは
免許返納の【メリット】
”自分がドライバーとなって事故を起こすことがなくなる”という大前提に加え、免許証に代わって運転経歴証明書交付が行われるようになっています。
運転経歴証明書は免許証のように公的な証明書として使えます。
また、運転経歴証明書は都道府県によって異なるものの、様々な店舗での特典が用意されており、割引や信用金庫での金利アップといったサービスが受けられるようになっています。
こちらは今後の情勢によっては、よりサービスが拡充されていくでしょう。
例えば
- 青森県ではバスの切符や定期券の助成
- 秋田県ではバスとタクシーの割引
上記を行っており、自動車が使えなくなることへのフォローを行っています。
今後、新しいテクノロジーで交通網の拡充が行われた場合は、運転経歴証明書は割引の対象になりえるでしょう。
【免許返納しない】ことのメリット
運転免許を自主返納しなければ”運転が続けられる”という面がメリットになります。
しかし、加齢によって”リスクは高まる”点は否めないでしょう。
また、認知機能検査という”高齢者の認知機能や判断力の検査”を通過できない場合は、免許が停止されてしまうので注意が必要です。
【自動運転車】の運転には【免許が必要】
今後自動車に完全に運転を任せる”自動運転車”が登場したとき、免許返納しないことがメリットとなります。
ただ、こちらに関しては免許制度の変化もあり得るでしょう。
まだかなり先の話で、費用的にもやや現実性のない話ではあります。
政府検討【安全装備を施した車種限定免許】
こちらが導入された場合、予防安全装備が必須となることから”新型車の購入”がほぼ強制的になります。
しかし、自動車が運転できるメリットは残ります。
この免許制度に関しては”予防安全装備がない車種が運転できなくなる”という点がデメリットです。
しかし、今後の予防安全装備車の普及具合によっては実際に施行されるため、返納をしないメリットは大きくなります。
なお、農業輸送用の軽トラックといった”代替できない車両”については、現在フォローする手段が確保されていないため、今後の課題となるでしょう。
高齢者による【運転のリスク】と対策
高齢者が自動車を運転することに対して、
- 判断力や記憶力の低下によるリスク
- ハンドル操作における体力的なリスク
上記のような事情があり、実際に”アクセルとブレーキの踏み間違え”による事故も発生しています。
この問題に対して、警察で認知機能検査によるフォローは行われています。
しかし、一般の人にも対応可能な
- 衝突被害低減ブレーキ
- 踏み間違い防止機能
上記のような予防安全装備以上のテクノロジーによるサポートは難しいのが現状です。
今後いかにテクノロジーが進んでも、小学生でも運転できる自動車は発売されないことが高齢者運転の問題を考えるポイントといえるでしょう。
【健康に支障がある方】の免許制度上のフォロー
”運動適性検査”というものが用意されています。
体力的に運転に自信がなくなった方も、医師に診断書を書いてもらい教習所において、こちらの検査を受けるのもよいでしょう。
【交通弱者】の問題とフォロー
高齢者の免許返納パーセンテージは都道府県でかなり異なります。
この要因の一つに、”バスや電車といった交通網の発展差が大きい”ことが挙げられ、免許返納率は東京都と大阪府が高い数値となっています。
交通網が発展していない、または今後の維持が難しい地方自治体では、無人運転バスの実証実験を行っているところもあり、交通弱者への対応の一例となっています。
免許返納の特典【バスやタクシーの割引や助成】があるケースも交通弱者への対応
また、最近では買い物を自宅へ宅配してくれるネットスーパーの普及もあり、買い物への自動車移動に関して、問題は少しずつ低下していく傾向にはあります。
ただ、こちらは大手チェーンスーパーが行っている場合が多く、”過疎地では恩恵がない”といった問題もあり、政府レベルでの対策も必要といえるでしょう。
なお、ドライバー所有の車を目的地が同じユーザー同士で乗り合いを行うライドシェアも、うまく法整備が進めば免許を返納した方や交通弱者へのフォローとして機能する可能性はあります。